続・ユビキタスの街角

ユビキタスの街角(http://tmasui.blogspot.jp/)から引っ越してきました

2013年10月

良いアイデアを思いついたので、 さっさと実装して論文書こう! と思ったのだが、 今(2013/10)から実装して/実験して/論文書いて/首尾よく採択されて/発表するとなるとスケジュールは以下のようになりそうである。
  • 2013/10 実装開始
  • 2013/11 実装完了/評価実験開始
  • 2014/9 CHI論文投稿
  • 2014/12 CHI論文採択
  • 2015/5 CHI論文発表
つまり19ヶ月かかってやっと論文発表が可能になる。 これはいくらなんでも遅すぎるだろう。

同じものを実装してすぐにWebで公開したとすると、 以下のように話が進む可能性がある。

  • 2013/10 実装開始
  • 2013/11 公開開始
  • 2014/1 人気爆発
  • 2014/2 会社設立
  • 2014/4 エンジェル資金調達
  • 2014/6 VC資金調達
  • 2014/12 業績不振で終了orz
まぁ普通はこれほど高速に話は進まないだろうがスピード感が違いすぎるのは確かである。 年に一度コンファレンスを開く学会で発表される論文は、 発表されたころには時代遅れになっている可能性が高い。 学会にスピード感を持たせるにはどうすれば良いのだろうか?

日本の書店では本を買ったときカバーをつけてもらう人が多いようだが、 これは激しく無駄ではなかろうか。 紙がもったいないし、カバーをかける人件費がもったいないし、客としてはレジの清算に余計な時間がかかるのが嫌である。 私は買った本にカバーなどつけてもらわないし、袋をもらわないで持ち帰ることも多い。

書店カバーをつけたまま本棚に本を並べてる人はあまり見たことがないところをみると、 自宅ではカバーをはずして読んでる人が多いのだろうし、 Amazonで買った本にいちいち自分でカバーをつけてる人は少ないだろう。 何故カバーをつけてもらうのだろう?

電車の中などで読んでる本を知られたくないというのであれば人前で読まなければ良いし、 どうしても読みたいなら自前のカバーを持ち歩けばいいだろう。 他にも理由があるのかもしれないが、 すべての客に対してすべての本にカバーをかけて売るというのは無意味な過剰サービスであろう。 本にカバーをつけてくれる書店というものは欧米でも中国でも東南アジアでも見たことがないから、 これは恐らく日本の風習なのだろうが、 無意味な過剰サービスはやめてもらいたいものである。

私が良いと思う論文や研究テーマが最近ウケないことが多いので困っている。 「耄碌乙」なことはわかっているのだが、 西田豊明先生のこういうツイートをみつけた。

なんと自分は宝庫の目の前にいるらしい \(^o^)/

もちろん自分が変である可能性が一番大きいのだとしても、 宝の山を目にしてるのだと思ってクサらずに頑張ることは大事だと思う。

解決すべき問題や記憶しておくべき事項が増えると憂鬱であるが、 すべてをメモなどに書き出してしまえば気が楽になるものである。 脳の外側に情報を書き出して整理することによって複雑な思考が可能になったり気分が爽やかになったりするのだが、 計算機操作において、 見えない状態を頭で記憶しておく必要があることが意外と多い。

誰もが普通に使っているコピー/ペースト操作では、 コピー操作をした文字列がコピーバッファに入っているという状態がユーザに見えないのが普通であるため、 コピー操作を行なったという事実をペースト完了までユーザがずっと記憶しておかなければならないという心理的な負担がかかってしまう。 コピー/ペーストは短期的な処理なので、 この程度のことは問題だと思っていない人がほとんどであろうが、 小さな負担でも蓄積されると大きなイライラになるだろう。 また、入力システムの状態が日本語モードなのか英語モードなのかわかりにくい日本語入力システムがよくあるが、 このようなシステムをうまく使うためには現在の入力モードについて頭で記憶しておく必要があるので心理的な負担が大きい。 これも小さな問題かもしれないが蓄積されるとイライラが溜まる。

現在の状態を常にわかりやすく可視化するようにすればこのような小さなイライラは解決できる。 コピー操作後は常にコピーバッファの内容をカーソル周辺に表示しておけば、 コピー内容を忘れたりペースト操作を忘れたりすることはなくなるだろう。 また入力モードを常に明示しておけばモードを間違えることは減るだろう。 いずれの場合でも、 目に見えない秘密の状態や情報をなくすことによって様々な心理的負担が減ることは確かである。 クリアファイル整理法の場合、 関連情報を全部計算機に書き出しておけば、 書類のタイトルやカテゴリを覚えたり考えたりするための心理的負担を減らすことができると思われる。

秘密情報を覚えるための心理的負担が最も大きいのはパスワードであろう。 パスワードはどこかに書き出すわけにはいかないから可視化によって問題を解決することができない。 パスワード管理の負担を劇的に減らす方法はすでに開発ずみなので、 後で詳しく紹介するつもりである。

Amazonが Mechanical Turk というクラウドソーシングサービスを提供していることはよく知られている。 米国に銀行口座を持っていないと仕事を依頼できないため、 実際に利用したことがある人は少ないかもしれないが、 手軽にいろんな仕事を依頼したり請け負ったりできるということは画期的なことだろう。

手軽に利用できるクラウドソーシングサービスをユーザインタフェースに利用しようという試みが米国では最近流行しているようである。 ユーザテストに利用するというのが最も手軽な例であろうが、 計算機と同じような機能をネット上の誰かに依頼してしまうという試みも盛んである。 たとえばMITで開発された Soylent というシステムでは Wordの編集メニューに「段落を短くまとめる」のような項目が追加されており、 ユーザがこれを選択すると Turkit というライブラリを利用してMechanical Turkへの発注が自動的に行なわれ、 世界の誰かが段落を短くまとめてくれるようになっている。 クラウドソーシングを活用するという研究や論文はここ数年かなり増えており、 最近のユーザインタフェース系の学会では必ずクラウドソーシングのセッションがある。

計算機に対する指示とクラウドソーシングの発注が同じレベルで実行できるというのは実に面白いが、 世界の誰かを安い金でコキ使っている印象があるのも確かである。 Mechanical Turkの仕事を請けることは誰でもできるので実際にやってみたことがあるのだが、 日本に関連した文章の説明が適切かどうかを英語で答えるという結構大変な仕事をみっちり1時間作業した結果、 報酬$1.80をいただくことができた。 先進国の人間でこんな給料で仕事をする人はいないだろうから、 Soylentのような仕事を請け負うのは発展途上国の人間しかいないだろう。 こういうシステムを作ったり使ったりすることには疑問を感じる。

とはいうものの、 日本語が得意でかつ激安の給料で働いてくれる人間が大量にいるような国が世界のどこかに存在したとすれば、 そういう人達にいろんな雑用を発注したくなるだろう。 英語が得意でかつ激安の給料で働いてくれる人間は世界に大量に存在するだろうから、 アメリカ人にとってはそういう人々をクラウドソーシングという名目で搾取することが気にならないのかもしれない。

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