「パスワードを忘れた」みたいな話を聞くたびに「アホじゃなかろうか?」と感じてしまう。 パスワード認証の最大の問題は複雑なパスワードを覚えておくのが難しいことである。 新たに覚えたことを忘れてしまうのは人間にとってあたりまえのことであって、 新しく決めたパスワードを忘れてしまうのはごく自然なことである。 苦労して考えた文字列は、一時的に覚えておくことができたとしても 時間がたつと忘れてしまうに決まっている。 忘れないための工夫を行なわず、 パスワードを覚えておこうと努力したり、 新しく決めたパスワードを将来覚えていられると思うのは愚の骨頂だと言わざるをえない。
　新しく考えたパスワードを頭で覚えておくことが難しいのであれば、それをどこかに記録しておけばいいかもしれない。 パスワード文字列をそのまま書いておくのは危険なので、パスワードを暗号化して安全に記録しておくための 「パスワードマネージャ」 というソフトウェアが最近よく使われている。 パスワードマネージャは、 複数のパスワードを安全に記憶するための便利なソフトウェアであるが、 パスワードマネージャを使うためには 「マスターパスワード」を使って認証する必要があるのが普通なので、 パスワードを最低ひとつは覚えておく必要がある。 また、パスワードマネージャ自体を紛失したりマスターパスワードを忘れてしまったりしたら大変である。
　新たに考えた複雑なパスワードを覚えたり管理したりしようとするのではなく、 自分が絶対に忘れない秘密の情報から複雑なパスワード文字列を生成することにすれば、 「パスワードを忘れる」問題は完全に解消されるはずである。 この考えにもとづいた EpisoPass というシステムを作成して便利に利用している。 これを利用しはじめてからパスワードを忘れて困ったことは一度も無いし、 サービスごとに異なる複雑で強力なパスワードを自由に設定できるようになった。 パスワードを覚えようとして消耗している人はぜひ EpisoPass を試していただきたい。